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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第15章 邪魔なんてさせないんだからッ!
馬鹿だ、あたし。
少し考えれば判ることじゃない。
唯斗さんがあたしを好きになることなんてない。
あるはずがない。
だって、実の母親にさえ捨てられたんだから……。
自分のお腹を痛めて生んだ子供を捨てるなんてよっぽどのことがないかぎり有り得ない。
あたしは、お母さんに嫌われていた。
ああ、お父さんにしてもそうだ。
あたしっていう厄介なこぶ付きがいるばっかりに良い人さえ出会えない。
お父さんは医師として腕も立つし、収入だってある。
唯斗さんと兄弟なだけあって背も高いし、50歳を過ぎているけれどまだまだイケメンだとも思う。
だけど未だに再婚できずにいるのは――あたしのせいかもしれない。
それに唯斗さんにしてもそう。
好きな人がいるのに、あたしがその恋を邪魔した……。
邪魔なのは姫実花さんじゃなくて――。
あたしの方――。
そっか。
馬鹿みたい。
あたしは――……。
みんなの、邪魔をしていたんだ。
「っひ……っふぇ……ああああ……!」
涙で周りが見えない。
あたしはただ床に突っ伏して泣くことしかできなかった。
《邪魔なんてさせないんだからッ! ・完》

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