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略奪貴公子
第10章 夫人が化ける夜
「そうだな…、ドレスは黒がいいだろう」
いつもの淡い色ではなく
漆黒の艶やかなドレスを──
ふわふわとした栗色の髪は
美しく結い、高くひとつに纏めあげる
うなじのラインは色めかしく目に映り
大きくあいた背中がさらに、男の欲を掻き立てる
それから最後に、真っ赤な色の口紅を…
その可愛らしい唇に──
「──今宵の貴女は化けるのです」
満月の宴に、美しく咲き誇れ
全ての支度がレオによって為された後、レベッカは鏡台の前に立たされた。
「…こんな自分初めて」
蝋燭に照らされて映り出されたその姿は、彼女自身が知っているいつもの自分とは全く違う。
まるで別人…!
今までの化粧はどちらかというと若さを引き立てるためだった気がするけれど、今は大人っぽさを引き出すためか、いつもより濃い色だ。
黒いドレスは身体のラインにそって流れるように落ち、斜めのドレープが重なったスカートが脚を長く見せている。
袖は長く、胸元は首まで隠れて露出は少な目。
なのに…
「これ…背中が見えすぎではないかしら…!?」
背中どころか、腰までざっくり覗いていた。
「恥ずかしいわこんなの…っ」
「──何を仰有る。美しい」
レベッカが赤面して振り向くのに合わせて、クロードは彼女の耳にダイヤの耳飾りをつけた。