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略奪貴公子
第12章 怪盗の正義
「農家のボロ屋に忍び込んでリンゴをひとつ頂いたところで…なんのスリルもないでしょう?」
「……っ」
「狙うのは…大物だけで十分だ」
言葉をなくしたレベッカの横で彼は平然と言い放った。
彼は盗品を自分の手元におかない。
レベッカの言う通り彼は貴族であり金に困ってはいないので、本来なら必要のないものなのだ。
クロードが盗品を引き渡す裏売人は
彼の古くからの友人──だそうだ。
“ その友人とどういう経緯で知り合ったのかは聞かないでおこう…… ”
話を聞けば聞くほど、 踏み込んではいけない領域に入り込んでいる気がする。
「で、も、カミルは? あの子に協力してあげたのはどうしてですか?」
「──あの子供か」
きっと…困っているカミルを放っておけなくて協力してあげたのよね
ね?そうよね!?
「協力してあげたといいますか…協力させたといいますか…」
「……」
「手伝わせたのは真実です」
クロードがこの国に訪れて数日後。
別荘の向かいにある小さな農村から、ひとりの少年が訪ねてきたのだと、クロードは彼女に話し始めた。
───