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略奪貴公子
第12章 怪盗の正義

『 おーい!貴族さま、貴族さま 』

『 ──? 』

『 クロード様、子供が門の外で叫んでおりますが…追い返しますか? 』

『 どうりで騒がしい…。通してやれ 』

 それは人を訪ねるには相応しくないまだ早い朝だった。

 クロードに命じられた通り、付き人のレオが小汚ない格好をした子供を迎えにいく。

ギイッ──

 門の鍵が開かれた。

『 ……何かご用でしょうか 』

『 あ、貴族さま!お願いがあってきたんだ 』

 門を開けたレオを主(アルジ)だと思い込み、カミルは彼に話を始める。

『 僕の父ちゃんが病気になったんだ、だからお医者さんのところに連れていきたいんだよ 』

『 …… 』

『 でもお金がないんだ 』

『 …… 』

『 だからお金をください! 』

 無言のレオを、負けじと見上げる真っ直ぐな目。

『 ……、少々お待ちください 』

『 うん 』

 お願いを聞いてくれるまでここを一歩も動かない

 その意志が強く見てとれた。


コンコン──ガチャ


『 失礼します。あの子供が医者を必要としているのですが 』

『 ああ…話はだいたい聞こえていましたよ 』

『 …この周辺に医者はおりません。私が代わりに診て参りましょうか 』

『 …… 』

『 …クロード様? 』

『 子供を部屋に通しなさい 』

 早朝のバルコニーで読書をしていたクロードは、本を置いて自らも立ち上がった。



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