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略奪貴公子
第12章 怪盗の正義
「……と、そういう経緯です」
「それって…つまり」
クロードの話を聞き終わり、レベッカは頭の中を整理してみる。
「──つまり、お父様の診察代として、カミルに泥棒の手伝いをさせたのですか?」
「そういうことです」
もとより裏売人に流す予定だった戦利品を、今回はカミルに渡しただけ…。
それの一部はすでに診察代としてクロードに払われた。残りを何に使うのかは、カミル次第だが──。
「…レベッカ、勘違いしてはいけない」
「…?」
クロードの声の雰囲気がふっと変わった。
「私は決して善人ではない。…あなたが願うような慈悲深い人間ではないのです」
「わたしが…願っている?」
「怪盗はただの怪盗でしかない。美化することなどできないのですよ」
「──…」
彼は…、クロードは、自分の行為を正当化する気などさらさらなかった。
ただレベッカが彼の行いを正義だと思いたかった。それだけのことだったのだ。
「……不味いな」
不意に
クロードがその言葉を、溜め息とともにもらした。