この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
略奪貴公子
第12章 怪盗の正義

「どうかしたの?」

「…困りました」

 彼はホールの様子を、顔を動かさずにうかがっていた。

 顔は白いマスケラで隠しているので、それに気がついているのはレベッカだけだ。

「誰かを…探しているのですか?」

 無言になったクロード

 その仮面の下の表情が険しくなったように感じられて、レベッカは場の異変を察知した。

“ 奥の方が、なんだか騒がしい…? ”

 レベッカたちが休んでいる所とは反対側。

 ダンスを楽しむ人々を挟んで対称の場所に、不自然な人だかりができていた。

 その者たちの服装が、不自然なのだ。

 あれは舞踏会用の正装ではない。あれは…。

“ ……衛兵? ”

 レベッカにはそう見えた。

「クロード?あそこにいるのって衛兵じゃあ…、あっ」

 隅で固まった衛兵たちの、そのうちのひとりがチラリと此方を見た気がした。


 ──レベッカにも理解できた。

 確かに…この状況はよくない。


「あの人たち…まさかあなたに気づいたのですか?」

「──でしょうね」

 クロードはまだ、ワイングラスを片手に壁に背を預けていた。

「動揺してはいけない、レベッカ。彼等と目を合わせないことです」

「…っ、そうですね」

 仮面をつけていて良かった。そのお陰で表情を少しは隠してくれる。

 向こう側も、まだ確信が持てないようで動き出す気配はなかった。

「恐らく、先日、私が忍び込んだ邸の貴族もこの舞踏会に来ていたのでしょう」

「それで勘づかれたのですね」

「……ハァ、隠しきれない華やかさというのも、困りますね。目立ってしまう」

「ふざけている場合じゃありません…!」

 大袈裟に溜め息をつき、頭を垂れたクロード。

 でも確かに彼の言う通りだ。

 その見事なブロンドの髪ひとつをとっても…彼のような男はそうそういるものではない。

 たとえ今の彼が仮面をつけていようとも、もとの怪盗もつけているのだから何の変装にもならない。


/274ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ