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略奪貴公子
第13章 目をトジ 声をヒソメテ

「んぅ……//」

 それから重ねなれた唇。クロードは顔の角度を変えると、休む間もなくもう一度喰らいついてきた。

 交差した唇の…その隙間を狙って、ぬめりのある舌が容易に侵入してくる。

「はぁ、あっ…」

 口内を丁寧にまさぐる舌。歯列をなぞり上顎を刺激し…彼女の舌に絡み付いては、離れる。

 二人の顔の角度が入れ替わり…交錯するたび、互いの仮面があたりカチカチと音を鳴らしていた。

“ 絶対にこんなコトしている場合じゃないのに…! ”

 この男(ヒト)のキスは卑怯だ…。抗えない。

 ぼんやりと薄れる意識のなかでレベッカはそう思った。

 いつの間にやら彼女はクロードを受け入れ、彼の舌を必死に追っていたのだ。

 絡んでくる…彼を失いたくない。

 息が上がり呼吸が上手くできないけれど、それを気にする余裕すら奪われてしまった後だった。

 クロードは仮面に蓋をしていた手をそっと離したが、彼女の目は、いつの間にやら閉じていた。

 彼の舌に意識が溶かされて

 瞼が重い──

 けれどこれは眠気ではない

 …陶酔(トウスイ)、という言葉がぴったりだ。

 長く熱い接吻は二人の想いをひとつにする。

 混ざりあう唾液がピチャピチャと音をたて

「…んあッ…ぁぁ」

 クロードが顔を引き互いの唇が離れると、レベッカから名残惜しそうな声が漏れた。

「…ハァ…ッ…ハァ、…っ…はぁ…」

「…っ…あなたも同じだろう…?」

 抱き寄せていた彼の手が下がり、レベッカの剥き出しの腰に滑り込む。

コツッ...

 離した顔を再び近づけ、仮面越しに額を押し付ける。

「…私が欲しい筈だ」

「…っ」

「私もあなたが欲しいのですよ、レベッカ。
  今、ここで…──」

「…っア…ン」

 腰にまわされた手が悩ましく肌を滑る──

 レベッカは肌を栗立たせ、自身の官能が押し上げられるのを拒めずにいた。

 今欲しい

 止められない

「…邪魔な仮面だ」

 クロードは自身の顔からマスケラを外す。

 彼女を嬲(ナブ)る手の動きはそのままに、興奮とともにほんのりと色付き出した首筋に…ねっとりと口付けをほどこした。



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