この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
略奪貴公子
第15章 人相書き
「結局、宮殿からの呼び出しというのは何だったのです?父上」
「国庫の金を不正に着服する者がいたらしく…それの調査協力についてだ」
「そんなことが??まったく強欲なやつは駄目ですね」
公爵と話しているのは長子のエドガーだった。
他にも第一夫人と第二夫人の2人と、息子が2人、席についている。
「強欲といえば……父上もご存じですか?4日前、バイエル伯爵の城に現れた怪盗の話を」
エドガーが、唐突にそんな話を切り出した。
朝食のスープを飲んでいたレベッカは動揺して、スプーンを床に落としてしまう。
“ 怪盗…?それってクロードのこと…!? ”
「おやレベッカ殿、なにをそんなに慌ててるんだい?」
「…っ…いえ…申し訳ありません…!手がすべって」
「そうか」
食卓テーブルの対角線上に座る彼女の異変に目ざとく気付いて、エドガーが声をかける。レベッカは必死に平静をよそおった。
公爵がエドガーに返答する。
「ああ、伯爵邸の舞踏会での騒ぎは、噂に聞いている。衛兵が捕らえようとしたが逃走したようだな」
「そうなのです!奴のおかげで舞踏会はめちゃくちゃになりました。実はその夜、バイエル伯爵に誘われて俺も城にいたのですよ」
エドガーの視線がレベッカに流れる。
「……!!」
レベッカは今度こそ困惑を隠せない。