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略奪貴公子
第15章 人相書き

「結局、宮殿からの呼び出しというのは何だったのです?父上」

「国庫の金を不正に着服する者がいたらしく…それの調査協力についてだ」

「そんなことが??まったく強欲なやつは駄目ですね」

 公爵と話しているのは長子のエドガーだった。

 他にも第一夫人と第二夫人の2人と、息子が2人、席についている。

「強欲といえば……父上もご存じですか?4日前、バイエル伯爵の城に現れた怪盗の話を」

 エドガーが、唐突にそんな話を切り出した。

 朝食のスープを飲んでいたレベッカは動揺して、スプーンを床に落としてしまう。

“ 怪盗…?それってクロードのこと…!? ”

「おやレベッカ殿、なにをそんなに慌ててるんだい?」

「…っ…いえ…申し訳ありません…!手がすべって」

「そうか」

 食卓テーブルの対角線上に座る彼女の異変に目ざとく気付いて、エドガーが声をかける。レベッカは必死に平静をよそおった。

 公爵がエドガーに返答する。

「ああ、伯爵邸の舞踏会での騒ぎは、噂に聞いている。衛兵が捕らえようとしたが逃走したようだな」

「そうなのです!奴のおかげで舞踏会はめちゃくちゃになりました。実はその夜、バイエル伯爵に誘われて俺も城にいたのですよ」

 エドガーの視線がレベッカに流れる。

「……!!」

 レベッカは今度こそ困惑を隠せない。


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