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略奪貴公子
第15章 人相書き

「…あの」

「…………」

「あの!あなたはどうやって召使いに紛れたのですか?それにっどこに行くおつもり?」

 朝食の間(マ)を出たレベッカとレオは、向こうの声が聞こえない距離まで廊下を進み続けた。

 しびれを切らせたレベッカが彼を呼び止めると、無感情な声が返ってくる。

「レベッカ様の寝室に行くだけです。……あの場にいるのは不快だったでしょうから」

「それは…!そうなのですが」

 彼なりに気遣ってくれたとでも言うのだろうか。どうやって公爵の召使いになりすませているのかについては、…教える気はなさそうだ。

“ それよりクロードだわ!正体がバレてしまっていることを急いで彼に伝えないと ”

 レベッカは小走りでレオの前に回り込み、誰かに聞こえない小さな声で耳打ちした。

「いろいろ聞きたいことはあるけれど…!とにかくあなたに会えてよかったです。クロードにもう公爵邸に来てはならないと伝えてください!捕まってしまいます!」

「…よろしいのですか」

「エドガー様がつくらせた人相書きを見たでしょう?あれはクロードにそっくりだったわ」

「ええそれは私も確認しました。…それもふまえたうえで、" レベッカ様は " それで宜しいのかを聞いております」

「わたし…!?」

「我が主(アルジ)と二度と会えなくなりますが。貴女はそれを望まれますか」

「……!」

 レベッカは次の言葉がすぐに出なかった。


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