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略奪貴公子
第16章 宝を守る武器
ここに書かれているのは、何かの道具の絵だろうか?
「畑を耕すのに使うんだ」
「ふ~ん」
貴族であるレベッカには馴染みのない道具だった。
絵の横にそえられたメモの文字にも目を通す。
◇◇◇
職人である貴方の腕を見込み、これら農具の製作を依頼します。製作にかかる費用はこの少年が支払うでしょう。
…では。
Claud─Michel・Geofrroy・de・Bourgeat
◇◇◇
「──クロード!?」
羊皮紙の右下に書かれたサインの名を見て彼女は驚いていた。
「これをクロードの命令で買いに来たの?」
「…良い道具を使うことはひつようふかけつ」
カミルはクロードの口調を真似て胸を張る。
「職人は見つかった?」
「地図に書いてある鍛治屋さんに行ったらちゃんといたよ。それがね…!
──そこにね、この前会った怖い目付きの黒髪の兄ちゃんがいたんだよ!」
…黒髪の兄ちゃん?
「もしかして…アドルフ?」
「僕びっくりしちゃった」
「──…」
クロードが、カミルをアドルフの所へ行かせた?
二人はいつからそんな仲になったのだろうか…。レベッカの知らない二人の関係に、彼女は疑問を抱くしかなかった。