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略奪貴公子
第17章 ほどかれた真実
「帰ったら、クロードさまにも言いつけてやる」
「……クロードに会えるの?」
「うん、お屋敷に行けばね」
「…っ、それなら彼に届けてほしいものがあるわ」
カタンと椅子から立ち上がり、レベッカは引き出しから便箋とペン、そしてインクを取り出した。
それらを持って椅子に座り直す。
手紙でも書いて送り届けてもらおう。そう思い付いた彼女は、まだ内容も考えないうちにペン先にインクをつけていた。
「お手紙書くの?」
「そうよ」
「…もしかして、クロードさまはお城に来なくなったの?」
「……ええ」
来なくなった
正確には、来られなくなった
「今このお城に来たらね、クロードは捕まってしまうの。怪盗だって…気づかれてしまうの」
「え……!」
「…だから会えないの。だから手紙を届けてもらえないかしら?」
──いつまで会えないのか
もしかして
このままずっと…
「わたしからのお願い、頼める?」
「もちろんだよ、でも…」
クロードがこの城に来ていないことが、カミルにとっては意外なことらしく…カミルは不思議と惑っているようだった。
「大変なんだね、クロードさま」
「悪いのはあの人なの。あんなに目立つ見た目の癖に、まんまと姿を見せるようなミスをしてきたから…っ。泥棒のくせに格好つけるからいけないの」
「──それはちがうよ!レベッカさま!」
「──?」
バンッ!
突然、カミルの小さな手が机を叩いた。