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略奪貴公子
第17章 ほどかれた真実

「クロードさまは、きっと…きっとわざと、自分の姿をお屋敷の人たちに見せてきたんだよ」
「わざとって…どういうこと?」
「僕たちが疑われないようにだよ」
カミルの目は真剣だった。
「僕たちが盗んだって疑われないのは、クロードさまがわざと自分の姿を見せてるからなんだ。それってとても危ないことなんだよ」
「どうして…わざわざそんなこと」
「──昔、あったんだ」
かつて──カミルの住む村近くの商人の館に、泥棒が入ったことがあった。
「そのときは、理由もなしに僕たちが盗んだって疑われたんだ」
ただ貧しいというだけで、容疑の矛先は農民たちに向いたのだ──。
今回の一連の事件は、どれも財力のある貴族や商人を狙ったもの。確かに普通なら、その犯人が貴族だとは誰も思わないだろう。だが
小綺麗な怪盗の装束と
なびく長いブロンド髪
そして謎めいた置き手紙──
これらが自然と、怪盗のイメージを貧しい農民からかけ離れたものにしてきたのだ。

