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略奪貴公子
第18章 退屈な少年
「──…」
部屋の奥へ消えようとするクロードの後ろ姿──
それを見送るレオの、への字だった口元が、幽かに吊り上がる。
「……さっさと出掛ける用意をなさいませ。
自信過剰で悪趣味な──我が主(アルジ)」
「──?」
聞き間違えか?
クロードは驚いて振り向いた。
「…今、私に何と言いました?」
高貴な貴族の少年は、初めて言われたその言葉に対し、目を細めて苛立ちの色を見せた。
「私が悪趣味?」
「その通りです」
「……っ」
レオは平然と受け答える。
「──…うぬぼれに効く薬は、この屋敷の中にいては手に入らないのです」
その捨て台詞とともに、今まで一歩も動かなかったレオは初めて足を動かし
代わりに固まってしまったクロードを残してその部屋を出ていった。