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略奪貴公子
第18章 退屈な少年



ガチャ…ッ


 レオが扉を閉めると、廊下の奥を歩いていたひとりのメイドと目があった。

 そのメイドは彼の姿に気がつくと、はっとした様子で駆け寄ってくる。

 彼の前まで来て、そして小声で話しかけた。

「旦那様に聞きました。貴方が新しいクロード様の付き人ね?」

「そうです」

 新しい…ということは、今までも何人かいたと言うことか。

「わたしが知っている限りで、あなたで6人目よ」

「多いか少ないかで言えば、多いですね」

「そうよ!早い人なんて1日で自信を無くして去っていったわ」

 メイドはますます声を潜める。

「クロード様はあのような御方だから…付き人になった方はいつも苛めぬかれて、最後はぽいっと捨てられちゃうの…っ」

 彼女は同情たっぷりの目でレオを見上げた。

「だからわたしあなたが心配で…」

「──平気です」

「……っ」

「狭い世界で自惚れた子供を、私がきっちりと教育しなおしてみせますから」

「え」

 その時、彼の整ったその顔に、黒い笑みが一瞬だけ浮かんだのを──そのメイドが見落とすことはなかった。






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