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略奪貴公子
第18章 退屈な少年
その後、先に外に出たレオが馬の用意をしているとしばらくして彼が現れた。
「いらっしゃいましたか」
「……」
外出着に着替えたクロード。彼はレオという人間を見極めようと、静かにレオを伺っている。
秋特有の肌寒さの中、彼らはすぐに出発した。
行く先は、伯爵の屋敷からそれほど離れた場所ではない。
馬を走らすクロードの目に直に入ってきたのは、腐りかけた木の柵と大きな畑──そしてボロボロに古びた、立ち並ぶ家屋。
レオの合図に従い、クロードは怪訝(ケゲン)な表情で馬から降りた。
ザクッ、ザクッ
畑には鍬(クワ)をふりおろす数人の男たちがいる。
しかし彼等の足元には茶色の土が広がるだけで、小さな芽がちらほら出ている以外に野菜の姿は見当たらない。
黙って畑に入るレオの後に続くものの、目の前の光景はクロードに不快な印象を与えた。
なぜ不快に感じるのかは彼自身もよくわかってはいない。
「レオ様だ…」
「レオ様!」
畑を横切る二人を見つけて、村の人間たちがしだいに集まりだした。みな口々にレオの名前を呼んでいる。
「レオさま~!」
そんな中で、小さな女の子が、一段と声を張り上げてレオに駆け寄ってきた。