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略奪貴公子
第18章 退屈な少年


「…ふっ、どうやら新しい付き人は…主人に向かって生意気な言動が目立ちますね」


「……」


「己の分際をわきまえろ」


 あたりの空気が凍る。

 レオはじっと、目の前の美少年を見つめ返した。

「……」

「くだらない場所に連れてこられたものだ」

「……」

「──…畑仕事は使用人の仕事です」

「…承知いたしました」

 少し怯えた様子のローザにちらりと目を向けた後、クロードは畑から離れていく。

「わたし失礼なこと言っちゃったんだね…」

「気にする必要はない。君は仕事に戻りなさい」

「はい!」

 レオがぽんと背中を押して、そしてローザは仕事に戻っていった。





 村人たちが外で作業をしている間、レオは彼等の家を、一軒、一軒をゆっくり訪ねていた。

「レオ様、もう夜になります。いつまでもこんなボロ屋にいてはあなたの身体に──ゴホッゴホッ!……っ…悪いですから」

「お母さん…っ、ダメだよ布団から出ちゃ」

「ローザの言う通りです」

 それぞれの家を訪ね回っていたレオは最後にローザの家に来ていた。

 ベッドで横になっている彼女の母親に、レオが自分で調合した薬を飲ませたところだ。

「すっかり暗くなったろう、母さんも外に出てみんなを手伝わないと…!」

「いいよー!お母さんは休んでて! お父さんが頑張ってくれるし、わたしだってちゃんと手伝うから」

 この親子のこのやりとり…

 聞くのはいったい何度目だろうか。

「…外の様子を見てきますね」

 母親の看病を終えた彼は、ローザの家を出ていった。



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