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略奪貴公子
第18章 退屈な少年
ザクッ、ザクッ、ザクッ
家を出たレオが畑に入り、その土を踏みしめながら横切った先にはクロードがいた。
クロードは村の隅で、乗ってきた馬に寄りかかるようにしてひとり立っている。
何を考えているのか想像もできない表情でじっと…遠くに見える林の影を見つめながら…。レオはそんな彼に声をかけた。
「てっきり帰られたと思っておりました」
「……」
そんなところで何もせず、何時間も──
「退屈そうですね」
「…これが私の日課だ」
まるで十四歳とは思えないその発言。クロードにとっては冗談でもなんでもなかった。
「その言葉…」
「──…」
「…彼等にも聞かせてあげたいものです」
「……?」
その時、ふと、畑での様子に変化が起きたことにクロードは気がついた。
夜になってあたりは暗闇に包まれつつある。
けれど人々は仕事をやめて家に戻るどころか、逆に次々と畑に集まってきているのだ。
そこには女性や子供もいる。
「何が……?始まる?」
レオはクロードの横に立ち、畑の様子を同じように眺める。
「──今から起こることをあなたはどのように見るのでしょうか」
「……?」
「悲劇、もしくは喜劇…ですかね」
……
「きた!おいみんな、こっちだ!」
「こっちにも来てるぞー!!!」