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略奪貴公子
第18章 退屈な少年

「何故、彼等は獣を攻撃しない?」

「あの獣たちが法で守られているからです」

「法…?」

「貴族でない者が、鹿に危害を加えることは禁止されているのですよ」

 クロードは知らなかった。

 ──鹿は、貴族の狩りの獲物。貴族以外の人間が鹿を殺してはいけないのだ。

 だから人々は、いくら鹿に畑を荒らされようと殺すことは許されない。音を打ち鳴らして威嚇するしか手段がない。

 それが人々を苦しめていることを。

「食べるなあーっ!」

 鹿を追い回す人々のなかにローザもいた。

 彼女は二つのスコップを手に持って、鹿の横で打ち鳴らす。

 鹿は鹿のほうで、鬱陶しそうにゆっくりと隣の芽に移っていった。


「──…」


 たしかにこれは喜劇か


「滑稽な風景だ…」


 駆け回るローザの姿を目で追いながら、クロードが呟く。


カン、カン、カン......


 畑に響く耳障りなその音が、彼の耳にこびりつく。








 そしてその夜……

 人と鹿の可笑しな戦場と化したその場所に、一発の銃弾の音がとどろいた。

 翌朝、畑の隅に横たわる獣の死骸が見つかり、村人がひとり、村を管轄(カンカツ)する貴族の館に連行された。




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