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略奪貴公子
第18章 退屈な少年
「…ハァ、…──ッ」
ポタッ…
逃げる男…いや、まだ少年か。
彼の着ている白い装束に赤い斑点が浮かんでいた。
どうやらガラスで腕を切ったらしい。
「…っ」
彼は一瞬、走る足を止める。
このまま逃げるべきか
いったん身を潜めるべきか──
迷っていると、人気(ヒトケ)のない林の奥から突如として馬が現れた。
「───!?」
「此のような場所で……いったい
何をされているのですか──我が主(アルジ)」
馬の背で手網を操る男はレオだった。
「何故クロード様が此処にいて…何をしているのかも知り得ませんが」
「……っ」
「……、帰りましょうか」
馬上のレオは、その後ろにもう一頭を引き連れている。
今の少年──否、クロードに迷う余裕はない。
彼はその馬に股がった。