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略奪貴公子
第18章 退屈な少年
翌朝のこと
「──…」
レオはクロードの腕にできた切り傷の手当てをしていた。
椅子に腰かけたクロードの前にひざまづき、差し出された腕に包帯を巻いている。
「クロード様、ご存知ですか?昨夜──レイモン伯爵の館に泥棒が入ったそうです」
「……」
「レイモン伯爵と言えば、四日前に鹿を撃ち殺した村人を捕まえ、連れ去った御方…。このような偶然もあるものですね」
「……ふん」
手当ての合間に、感情のこもっていない声で話しかける。今日レオはいつもより口数が多かった。
クロードは目を静かに閉じ、背もたれに寄りかかっていた。
「その泥棒はレイモン家の家宝である金の腕輪を持ち去ったと…伯爵が血眼(チマナコ)で捜索中です」
「そうですか」
一見、興味のなさそうな反応をクロードは返していたが、そんな彼の表情をちらりと確かめたレオは溜め息をついた。
犯人の狙いはなんだったのか
金? それとも…
「──同情ゆえの憎しみか」
声色を低くしたレオが、下から見上げながら問いかける。
…パチリ
「──…」
それを聞いたクロードは目を開けて、相手を見つめ返すと口を開いた。