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略奪貴公子
第19章 口止め
違う、そうではない。
「…ゴタクなど必要ない」
優秀なクロードこそが後継者になるべきだと、それは暗黙の了解だ。屋敷の全員が認めている。
「クロード様に歯向かうようなことは、お止めになるべきかと思いますよ」
「何を言ってるの!?後継者は兄のダニエルですもの…っ…クロードなんかこの証拠さえあれば消え去るわ。みてなさい…!」
「──…奥様」
納得しない夫人の手が、差し出された腕輪に伸びる。彼女がレオの言葉に耳を貸すことはなかった。
呆れ顔になったレオ
自らの手からパシリと横どられた腕輪──
「──…」
「…!?」
目を閉じた彼が腕輪の代わりにつかんだのは、夫人の手首だった