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略奪貴公子
第21章 脅迫者

「おやめ下さいエドガー様…!」

 レベッカは晒された肌を腕で隠した。

 身体をひねって、上にまたがる男を退かそうと足掻く。

「…っ…なに、そういうプレイがいいのかい?優しくしてやろうとしたのに…!力づくで押さえ付けて、ねじ込まれたいか?」

「わたしの身体はあなたの好きにさせません!」

「はぁー…、だったら良いのか?伯爵との事を父上にバラすぞ?」

「どうぞ、そうして下さい」

「なんだって…!?」

「不貞を働いたわたしが悪いのです。──ですがご覚悟を!あなたがベノルト様に話すというなら、わたしもっ…今夜のことを告発します」

「あ、あんた馬鹿か?不貞のうえに、家族に犯されたなんて恥の上塗りだ。そんな娘…っ、父上に見放されるばかりか、次のもらい手もいなくなるぞ?」

「ええ、わかっています」

 顎を引いたレベッカは上目遣いで、相手を睨んだ。

「わたしの価値は地に落ちる──…。それでも、あなただって無傷ではいられませんよ?エドガー様」

「レベッカ…ッッ」

 腹をすえたレベッカの瞳に、静かな光が宿る。

 その美貌に気圧されそうになるエドガーは、赤くした顔を震わせて悔しがった。

 次の言葉が見つからず、反射的に手が上がる。

「……ッ(ギュッ)」

 殴られるとわかったレベッカは両目を閉じた。

 歯も食いしばる。

 ただ自分が言った事に、後悔はなかった。



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