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略奪貴公子
第22章 決意の涙
「もっと早くこうするべきだった」
この貴族という檻から、お前を連れ出してやらなければいけなかったのに…。
レベッカ……
お前は確かに、貴族であろうと、そのように振る舞おうと努力してきたかもしれない。
恋を捨てて、自分の意思を諦めて、政略的な婚姻を受け入れる準備をしてきたのかもしれない。
だがお前は、自分自身を偽れるような…そんな人間とは程遠い。
「俺をここに案内した、あのエマというメイドも同じように言っていた」
「──エマが?」
「お前の立場を心配していた…あの女は、お前の不貞にも、とっくに気付いていたんだろう」
アドルフは、自分の鍛冶屋を訪ねてきたメイドの言葉をレベッカに伝えた。
『 わたしはレベッカ様が好きだから、だから…幸せになっていただきたいのです。こんな仕組まれた婚姻で、レベッカ様を縛りたくないのです 』
『 しかしわたしではレベッカ様を守ることなどできません。どうか…アドルフ様、レベッカ様を── 』
──レベッカを、拐(サラ)えと
そして…守ってくれと