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略奪貴公子
第22章 決意の涙


 クロードを信じて待つ。そう誓ったレベッカ。


「伯爵の愛を信じるのか…!」

「クロードを密告なんてできない。でもそれは…」

 でもそれは首飾りを盗もうとするクロードの手助けをするのと同じこと…。公爵家を裏切ることになる。

「公爵家を裏切るわたしに、ここにとどまる権利なんてない。ちゃんと…この城を出るつもりよ」

 けれど──

「あなたとじゃない…!」

 一緒に逃げてアドルフに迷惑をかけるわけにはいかない。職人としてのアドルフの人生を、邪魔していいはずがない。

 レベッカは心に決めていた。

「…だから、帰って」

「レベッカ!」

「ありがとう…アドルフ…」

 レベッカは本を閉じ、窓から離れて本棚へと向かう。



「……っ」



 部屋の中央に立ち尽くすアドルフの

 ──ちょうどすぐ横を通りすぎようとした時だ。



「…ふざけるな」



 アドルフが彼女の両腕を強引に引き寄せ、驚いた手からこぼれた本が、まっ逆さまに床へと落ちて音をたてた。



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