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略奪貴公子
第22章 決意の涙


「…ッ…!」

「……ハァ…ハァ、ク…っ…」


 レベッカと同じように息を乱すアドルフ。

 宙をさ迷う彼の視線は、目の前のレベッカと合わさり、そして止まった。





「お前っ……泣かないのか……!」


「……っ、あなたこそ、泣かないの?」


「──俺が?」


 アドルフの手はドレスを裂いたまま止まっている。


「あなた…今にも泣きそうな顔よ、気付いてるの!?」


 震えながらも彼女の声には
 意思と気持ちの強さが表れていて…


「もう一度……言うわ、やめて、アドルフ……」


 力強く、睨んでいた。




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