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略奪貴公子
第22章 決意の涙
───
『 …お前…何やってるんだ 』
『 ああ、びっくりしたアドルフね。後ろから声をかけないでちょうだいよ 』
『 何の手紙だ…? 』
『 これは昔、世話になった人に書いてる手紙… 』
『 ──… 』
『 …読める? 』
『 いや… 』
『 そう…なら、わたしが教えてあげようか? 』
『 ──は?べつに読みたいとか思ってねぇよ 』
『 まぁまぁ遠慮なさらず…!
ほらこれ、《 Adolof 》…あなたの名前よ 』
『 俺の名…? 』
『 素敵でしょう? 』
──
───
『 ……ねぇアドルフ、あなたはわたしのことが好き? 』
『 …っ…何だいきなり… 』
『 でも恋人にはなれないわね、わたしたち…。だってアドルフは貴族じゃないもの。御義父様たちは大反対するわ 』
『 …当たり前だ。俺は追われる身になるのは御免だ。親方にも迷惑をかけることになる 』
『 …なぁんだ…、悪ぶってても中途半端ね。面白くない、つまんない 』
『 …っ…言いたい放題だな 』
『 ──… 』
『 なら生まれ変わったら、…でいいんじゃねぇの。そしたら恋人になってやれる 』
『 ……そうね、その時は、貴族とか平民だとか…そういうのがない世界だといいわね。…約束ね! 』
『 その時はお望み通り、正真正銘のワルになっといてやるよ。どれだけ嫌がっても逃がさないからな 』
『 …いやよそんなの 』
『 ハァ、面倒くさいやつだな…… 』
───