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略奪貴公子
第24章 怪盗の宝
「屋上庭園…」
本当に、ここは建物の上なのかしら?
アーチ状のツタ
綺麗に刈り込まれた観葉植物
涼しげな音を奏でる水路
こんな場所があるなんて彼女は知らなかった。
「なんて綺麗な場所…」
空の星の近くに咲く花たちは
何にも邪魔されることなくその光を浴びて、闇の中で幻想的に浮かび上がっている。
レベッカはその光景に見蕩れながらあたりをぐるぐると見渡していた。
「……」
……ない
「どこにも、ない……?」
ただレベッカは見蕩れているばかりではなかった。彼女は " あるもの " を探して、城を出る前に最後にここまで足を運んだのだ。
広い屋上庭園を歩きながら、彼女は必死に探している。
……けれど見つからない
右を見ても、左を見ても
「…!」
見つからないという事は……つまり
「…………。クロー…、ド……?」
すべてを見尽くしてから、レベッカの足は静かに止まった。
....
「レベッカ」
「──…」
その時、植木の影に見えたのは──
「……っ」
「今夜は美しい夜ですね、花も……あなたも」
「……!」
クロード……!
植木の後ろから姿を現したクロードが、手前の花壇に腰を下ろし、長い脚をもて余すように組んだのだった。