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略奪貴公子
第24章 怪盗の宝

「私はずっと…貴女の心を奪うのを恐れていたのかもしれない…」

 奪えばまた、興味が薄れてしまうのではと。退屈で空っぽだった元の自分に戻ってしまうのではないかと。そんな不安を知らず知らずにかかえていた。

 なるほど確かに、クロードは我がままで臆病な子供だったのだ。

「…しかしそれは杞憂(キユウ)でした」

 それを証明するのは、自分自身の…この内から沸き立つ愛情という熱の塊。



 ──冷めるわけがない。



「怪盗として貴女を拐うつもりで来ましたが……やめました」


「クロード……?」


「伯爵として、…私は貴女に求婚いたします」



 パサッ



 クロードは彼女を離して、マントの留め金をした。

 そして脱いだマントを広げると、彼女を包むようにして優しく被せた。

 クロードが片膝をついて彼女の前にひざまづく。

「──いま…なんて…?」

「……黙って」

「……ぁ」

 彼に柔らかく説き伏せられて、レベッカは驚いた口を閉じた。

 胸の前で両手を組み、被せられたマントをぎゅっと握った。

 するとクロードが懐から煌めく何かを取り出す。

「……!」

 アフロディーテの首飾り…!

 レベッカは初めてその首飾りを見た。


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