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略奪貴公子
第4章 来客がお見えです

「──ねぇ聞いた?」

「そう、昨日の夜でしょ…?」

 まだ若い女の話し声。それはレベッカの世話係たちのものだった。

 同じく話し声に気づいたエマはレベッカに謝罪した。

「申し訳ありませんレベッカ様…!今、注意してきますので…っ」

「大丈夫よエマ。静かに働かれるよりは、少しくらい賑やかな方がわたしもいいですから」

 レベッカは止めにいこうとするエマを制した。

 わざわざ怒るほどでもないし、…やはりこういう女の噂話には少し興味がある。



 どれどれ…

 さりげなく聞き耳をたてるレベッカ。



「この近くの商人の屋敷にまた怪盗が現れたのよ」

「近く…って、怖いわねぇ」

「でね、その怪盗──とても素敵な男なのよ!」

「捕まえてないのにわかるの?」

「仮面をつけているらしいけど…それでもわかるぐらいの美形なの!!スタイルもよくて…髪はブロンドの長髪ですってっ!」

 それに続いてキャーという乙女の悲鳴が聞こえた。

「──…!」

 聞き耳をたてていたレベッカはがっくりと肩を下ろした。


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