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略奪貴公子
第26章 Epilogue──2
レベッカはそれを受け取った。
彼に頼んで用意してもらったのはフランス語を覚えるための書物だ。
「私がお教え致しましょうか」
「いいです自分で勉強します。あなたは少し休んでちょうだい……働きすぎじゃないですか?」
クロードにこき使われるレオの苦労を彼女は知っている。そのあつかいは付き人を通り越して…もはや奴隷だ。
今だって、レベッカの部屋を整えるよう言いつけられた彼が、彼女がいない時間をねらってせっせと働いてくれている。
クロードの執務室と続き部屋になっているここは、もともとは倉庫のような使われ方をしていたらしく、初め見たときは物で溢れかえっていた。
レオのお陰ですっかり片付いてきたけれど……
ガタッ
「あっ…!」
その時、運び出すために扉の横に立てかけてあった絵画のひとつに、彼女の足がつまずいた。
絵を覆っていた布が落ちる。
「ごめんなさい不注意で!……絵が」
転げないように受け止めてくれたレオに頭をさげ、彼女は慌てて絵画を見た。
「……あら」
現れた絵画は、肖像画…
古い木枠におさまった肖像画だった。