この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
略奪貴公子
第26章 Epilogue──2
“ この人…… ”
そこに描かれていたのは女性だった。
緩やかなカールのかかった短めのブロンド髪で、年はレベッカより上の人だ。
女が見てもどきりとするほどの実に美しい女性である。
レベッカは何か見てはいけないものを見てしまった気がして、思わず視線をそらした。
今の人は、もしかして…
「──この方こそが、主(アルジ)が長年探しておられた女性です」
「…っ…ならこの人が、" あの "……?」
「ええ、" あの " 女性です」
「……っ」
彼女を襲った胸騒ぎの正体を見透かして、レオが淡々と教えてくる。
彼は落ちた布を絵画に被せて、それを抱えて去ってしまった。
「──…」
ひとりになったレベッカは、もやもやと晴れない気持ちのまま、レオにもらった本のいくつかを書棚に戻す。
ひと目見ただけの肖像画が、頭から離れない。
とても綺麗な人だった。
自分とは違う、大人の女性。
……本当にあの人が?
「あの人が…クロードの大切な女( ヒト )…?」
「──私がどうかしましたか?」
「……っ」
物思いにふける彼女が驚いて振り向くと、そこにはクロードが。
背後から書棚に手をついて、レベッカを自分と書棚の間に閉じ込めていた。