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略奪貴公子
第4章 来客がお見えです
“ フランスの伯爵さま… ”
レベッカは目の前の美しい男に目を奪われた。
「これは困ったなブルジェ伯爵。私の妻を誘惑してもらっては」
「誘惑など畏れ多いことはしませんよ」
彼女の心を見透かした公爵は、冗談をまじえてブルジェ伯爵をたしなめる。伯爵はすぐにそれを否定した。
「貴公の噂は我が国でも聞くことができます。王であってもおかしくない人格者であるとのご評判…。そのような方から奪うものなどありません」
「…それは安心した。そちらこそ、二十四という若さにしては非常に頼もしい立ち振る舞いだ」
機嫌良く笑った公爵は時刻を確かめると
そろそろ席をはずさなければならないと二人に伝える。
「ゆっくりしていかれよ、伯爵。私の邸はお気にめしましたかな?」
「ええ、とくに…この庭園は素晴らしい。見事なバラ園です」
伯爵は窓に目を向け、そして公爵に尋ねた。
「ドイツ滞在中、この庭を眺めに訪れても?」
「……好きにしたまえ」
「感謝します、モンジェラ公爵」
「では、私はこれで」
公爵は後のことをレベッカに任せて立ち去ってしまった。