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略奪貴公子
第4章 来客がお見えです
──ガチャ
「…あ…?」
すると、部屋を出たところに見知らぬ男が立っていた。
一瞬 驚いたレベッカに、彼は謝罪するように無言で頭を下げる。
「どなた…?」
「……」
恐らく貴族階級であろう身なりのその男。
とくに彼女に興味を示さず顔をそむけた。
それを見ていた伯爵が、部屋から出るなり彼をたしなめる。
「…レオ、挨拶ぐらいきちんとなさい」
「……」
「伯爵、こちらの方は?」
「私の付き人です。ドイツ滞在に伴い連れてきました」
「そうですか…」
彼女は改めてそのレオと呼ばれた男を見た。
プラチナブロンドの短髪。
瞳は伯爵と同じグリーンだ。
…そして恐ろしく無表情。
“ 歳は伯爵より十歳ほど上かしら ”
「私は今から夫人の部屋に行ってくる。お前は下で待っていなさい」
「……かしこまりました」
彼は礼儀正しく返事を済ませ二人を見送った。
「……」
レベッカの寝室へと向かう二人。
その後ろ姿に、付き人のレオは深い溜め息を贈る。
「運の悪い──…憐れな、女性だ」