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略奪貴公子
第4章 来客がお見えです
「は、伯爵はとてもドイツ語がお上手ですね。今までにもドイツを訪れたことがあるのかしら」
「ええ、何度か。それに語学は私の好きな分野ですから」
「尊敬します!わたしは外国の言葉はひとつも…」
「……」
「……っ、今回はどのような用でこの国へ?」
「それは…申し上げられません」
レベッカは相手の顔を見ることなくとりとめのない会話を続ける。
異国の伯爵への接し方などよくわからない…。
“ それに何故だか落ち着かない… ”
一目この方を見た時から胸騒ぎが止まらない。
伯爵が美しいから?いや、それだけじゃない。
それはただ単に、彼の整った容貌だけに起因するものではないようにも思うのだ。
「……」
そうこう考えているうちに寝室に到着。
先に部屋に入ったレベッカは、パタパタとはためくカーテンに目をやる。
──メイドが窓を開けたままにして帰ったのだろうか。
彼女が窓際へ歩き出した時だった。
...パタン
「──…ッ」
背後でしたその音に、反射的に彼女は振り返る。