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略奪貴公子
第5章 キケンな訪問者
「──ッ 」
蓋をされた口のせいで彼女の悲鳴が籠ってしまう。
突きはなそうと咄嗟に出した両手は、いとも容易くクロードに絡め捕られた。
「…っ…んん…」
顎も固定されているために顔を背けることすらできない。レベッカはただきつく唇を閉じて抵抗した。
「口を開けてください…」
「……!」
至近距離で甘く囁かれると、ぞくりとした感覚が彼女の心臓を鷲掴む。
胸の前で固定された両手首はどんなに抗っても男の力から逃れられない──。
それどころか、激しい動揺のせいで、上手く鼻で息ができず、彼女の意に反して、その唇から力が抜けていってしまうのは時間の問題だった。
「…んんっ//」
それを待ち構えていたクロードが、緩んだ上下の唇をついばむようにキスをくり返す。
そのキスはレベッカに休息など与えない。
一貫して呼吸のままならない彼女の息が荒くなるにつれ…身体から力が抜ける。立っているのがやっとの状態だ。
「……ハァ‥‥ッ‥ハァ」
....チュッ
「……ンあ‥…ッ‥‥ハァ‥ハァ…!」
頭がクラクラする……
息が上手くできないから?
どうにか…しないと、このまま……!
「…はぁ……ぁっ、ハァ……ぅ……//」
クロードはキスを続けたまま、彼女をじりじりと壁の方へ押しやる。
レベッカの背が壁に付き、彼女は完全に逃げ道を失ってしまった。
「……は ぁ…、ゃ……ぃや!」
追いつめられる焦燥感。
気づいた時には、レベッカは男の足を力いっぱいに踏みつけていた。
ガツッ──!
「…ッッ」
痛みに顔を歪めたクロードは彼女から顔を離した。