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略奪貴公子
第5章 キケンな訪問者

「──…」

 クロードはそんな彼女の頬に、そっと指をそえた。

「──…手入れの行き届いた薔薇(バラ)も良いですが、野に咲く花のたくましさもまた…人を惹き付ける」

「……?」

「そうは思いませんか、ヴィオレーヌ」

「…!?…誰ですか、それ」

「あなたのことです。…菫(スミレ)の瞳の乙女よ」

 そして唇を再び重ねた。

「む……っ、く…」

 そのキスは、彼女を壁に押し付けて強引に始まる。

 レベッカの油断の隙をついたまま、試しとばかりに軽く舌が差し込まれた。

 くちゅくちゅと音をたてながら舌を弄ばれる。

「…ッ……ハッ…ん…」

ヌル・・・

「……んん…っ…ァ…ん」

「ハッ……あなたに怯んだ……公爵は……、その後……優しくあつかってくださいましたか?」

「……ハァ……ハァ…ァ‥っ‥‥んん…!」

「……です が……私は、違い ます……」


 ──私はそんな男ではない

 抵抗されればされる程に

 益々、奪いたくなるだけだ



「…?‥‥ァ…っ」

「……私には……優しさなどありませんよ」

 舌を引き抜き唇を離したクロードは、微かに赤らんだ彼女の耳に囁いた。

 ぱさりと音を立ててレベッカの肩からガウンが滑り落ちる。


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