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略奪貴公子
第6章 外界へのエスコート
しかし彼女のビンタはいとも簡単に受け止められてしまった。
細い手首を捕らえられる。
「ハァ…ッ 」
「──…怖い女(ヒト)だ」
「…ゆ…許しませんから…!」
恥ずかしさと怒りで真っ赤になったレベッカはありったけの軽蔑をその眼差しに込めて睨み付ける。
このままでは気がすまない
どうにか…一度でもいい、このすました顔をひっぱたいてしまわないと…!
レベッカは、今度は捕まっていない左手を振り上げた。
「きゃあーー!!なっ、いったい何をなさっているのですかレベッカ様!?」
振り下ろされる左手を、右手同様にクロードが受け止めようとしたその瞬間に、そこに立ち会わせたエマが悲鳴をあげた。
「──…っ」
我に返ったレベッカが、しまったという表情で固まる。
クロードも少し動揺したようだ。
「レベッカ様…っ、何か問題がございましたか?ブルジェ伯爵となにか??」
「ああ…驚かせましたね、可愛らしいメイドさん。大したことではありません」
「……そっ…そうです、よ、エマ。ちょっと、いろいろあって……!伯爵の言う通り、大したことじゃないの。驚かせてごめんなさい…」
レベッカは無理な誤魔化しを始めた。
その顔に、ひきつった笑みを浮かべながら…。
「…っそれなら、構わないのですが」
つられてエマも苦笑い。
“ 人目につく場であまりにも大胆な行動は控えてください ”
“ そ、そうですね……っ ”
エマには聞こえない小声で、二人の間で言葉が交わされる。