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略奪貴公子
第6章 外界へのエスコート


《 だが…私はあなたを見つけた 》


「ぇ……?」

「もう少し、そのままでいて頂いて構いません。少しずつ、少しずつ私に堕ちればいい──」

 その方がいい

 その方が──私の欲を掻き立てる。

「どうか殴るときは私の隙を上手くついてくださいね?先程のようなわかりやすい動きでは、簡単に受け止めてしまえるので」

「……っ」

「ああ、殴るには身長差があり不利ですね。蹴飛ばす方をオススメ、しておきます」

「──なっ//」

 一連のクロードの言葉に、レベッカは頭がついていかない。

 呆れて声もでない。というより頭に血が上って、上りすぎて……クラクラしてきた。

「………はぁー」
 
 もう疲れた

 レベッカは片手を額にあてて俯いてしまった。

 そんな彼女は、クロードが面白そうに自分を眺めているのに気が付かない。

“ この人に勝てる気がしない ”

 ひっぱたくタイミングもなんだか見失っちゃったし

 もう、いいわ

 忘れよう、忘れよう……。

「──戻られるのですか?公爵夫人」

「……もういいです。あなたも早く帰って下さい」

「私はまだ帰りません」

「そんなにここの薔薇が好きなのですか?」

 クロードに背を向けたところを呼び止められ、レベッカは刺のある言い方で彼に振り向く。

「……」

 今度はクロードが身を翻( ヒルガエ)し後ろを向くと、彼はそのまま数歩進んで……そして、先に構える花壇を見下ろした。



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