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略奪貴公子
第6章 外界へのエスコート
───
城の外だ。
クロードは、彼女が落ちてしまわないようにゆったりとした速さで馬を走らせた。
レベッカは彼の腕に包まれたまま無言で馬に揺られる。
「あ…っ」
顔をあげると彼と目が合い、レベッカは目をそらすために俯いて、その胸に頬を預けた。
あの夜と同じ…品のいい香水の香りがする。
どうしても彼を意識してしまう自分がいて、レベッカは胸の奥が熱くなるのを否定できずにいた。
少しずつ城から遠ざかる白馬。
ところどころに建ち並ぶ豪商や貴族の館の前を通りすぎて、下街へと続く道に入った。
一度狭まった道幅はまたすぐに広がって、ひとり、ふたりと、すれ違う人が増えてゆく。
道の両端には店が並び、気づけばその人混みが馬の進行の邪魔をするまでになった。
客引きの声が飛び交い、辺りからお腹の減りそうな匂いが漂う。
駆け回る子供の集団とすれ違ったところで、クロードは自分だけ馬から降りると、手綱を引いて歩きだした。