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略奪貴公子
第2章 見初められた花嫁

 例の客人は夕暮れ前に館に着き、レベッカたちと食事を共にした後に、遅くならない内に来た時と同じ馬車に乗って帰っていった。

 殿方の反応にすっかり上機嫌な義父母たち。

 レベッカは期待通りの応対を終えてその夜は眠りについた──。




──



「──…こんな所で寝てても大丈夫なのかよ。未来の公爵夫人が」



 翌日の

 心地よい晴天の朝。

 昨日の窮屈さから解放されたレベッカは屋敷を飛び出て、前庭の奥に広がる森の中──木の幹に背中をあずけうたた寝をしていた。

 そんな彼女に影が被さり、からかうような声がかけられる。


パチッ


「ん…、アドルフ……?」


 起こされたレベッカは目の前に立つ青年の名前を呼んだ。



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