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略奪貴公子
第7章 花ヒラク乙女

 今日の彼女の服装は正式なドレスじゃない。白地の薄いドレスは、パニエを履いていないストンとした型の質素なスカートだった。

 パニエを履いていないということは…腰の回りを男の手から遠ざけるものが無いということ──。

 もとより朝食をとるために外に出ただけの彼女にとって、こんな状況は予想の中になかったのだ。

「あなたは盗まれたのです公爵夫人」

「……っ」

「こんな悪い男に…」

「…ァ、ゃっ」

「──だから襲われる」

 クロードは彼女の胸元の布を抜き取った。

 抵抗するレベッカを片手間に押さえつけ、腰の両端で結ばれていたドレスの紐をほどいてしまう。

「いやだ!」

 レベッカは今度こそ、この男の顔を叩いてやろうと思った。──否、叩くなどと甘いことを言ってられない。

「こっ…の」

 殴ってやるわ

 レベッカが拳を握りしめた──その瞬間である。

「そうこなくては面白くないですね」

「ああ!」

 クロードは抜き取ったドレスの布で彼女の片腕を絡めとった。

 そして素早く、もう片方にも巻き付けられて、あっという間に両手首を拘束される──。

「これくらい強引な方がお好きですか?」

 巻き付けた布の上から、彼女の手首を優しくさすって彼は言った。


 この強引さ…ッ

 花の趣も奥ゆかしさも、なんの関係があるだろうか。


「──ッ」


 紳士ぶるだけ、ぶっておいて

 結局あなたなんか…!


「欲まみれの、卑怯な男に違いないわ…」

「……」

「結局抱ければ…女なら誰だっていいのでしょう!?」

 両手首を固定されたまま、レベッカは彼を強く睨み付けた。

 一時でもときめいたり、楽しいと感じてしまった自分自身が許せない。

「早く離しっ…んッ」

 抗議で開きかけた彼女の口に、長い指が挿し込まれた。

「……黙って」

「んん…っ」

 口内の指が、熱くなるレベッカを落ち着かせようとするかのように、ゆっくり中を回る。

 舌を弄びながら…指先を軽く絡める。

「…ん…ふ、……ァッふ‥‥ん」

 苦しい…!

 レベッカの焦点が揺れ始め、口の端から唾液が一筋の線になって溢れた。


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