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略奪貴公子
第8章 再会
....
「ゴホンっ」
「──…?」
その時、二人の頭上に影が被さった。
「レベッカさま、みっけ。ついでに…そっちの怖い目付きの…おじ、…っ、お、兄さんも」
《 おじさん 》と言おうとしたカミルは慌ててお兄さんと言い直す。
だってこの兄ちゃん
僕を見上げたときに、むちゃくちゃ鋭い目で睨み付けてきたんだぜ。
「お話の声が聞こえるんだもん!すぐに隠れ場所がわかっちゃったじゃないか」
「うるさい、そもそもこのガキは何だ?レベッカ。見たところ貴族のガキではなさそうだな…」
いいところで?邪魔が入ったアドルフは機嫌を損ねてしまった様子だ。
レベッカの腕を掴むと、先程とは反対に今度はぐいと引き上げる。自分の腕で抱き留めるように彼女を立たせた。
「子供のお遊びに付き合う時間は終わりだ。ここからは…レベッカと大人の話があるんだ、じゃあな」
アドルフはそう言うと、掌を下にして、カミルに向かって追っ払うように左右に手を振ってみせる。
カミルはムッとした表情をした。
「ちょっと、アドルフ…っ」
「僕は!もう子供じゃないもんね!なんてったって倒れた父ちゃんのためにお医者さんを連れてきたりしたのは僕なんだから…っ」
「あ?医者?」
「そのお金だって自分で用意したんだからね!」
「…ちょ、ちょっとちょっと!カミル!?」
きゃー!
何言ってるのよカミル
お金の調達って…つまりは盗んだのでしょ!?
アドルフに勘付かれるわよ!!