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略奪貴公子
第8章 再会
焦って遮る彼女の様子に首をかしげるアドルフは、草むらから彼女を連れ出して石畳に出た。
「……で?だから何が言いたい」
「僕は子供じゃないから、のけ者にしたらダメですっていうこと」
「……はぁ、かまってほしいだけならママのいるところに行けばいいだろ?見送りはしてやらねぇから安心しな」
「…ムスッ」
「さっさと帰れ」
「アドルフ!その言い方は酷いと思うわ」
「はぁ……!?」
カミルを追い払おうとする彼だったが、横からレベッカに怒られてしまった。
「謝りなさい」
「謝らねーよ!というか何なんだよお前達のその良好な関係は」
「それは…──」
レベッカとカミルの関係…
それは…彼女が、カミル達が泥棒をしてるのを偶然見つけてしまったことから始まっているのだが。──ってそんなの言えるわけがない。
「…たまたま、さっき会ったばかりで」
「怪しいな。お前の恋の相手…まさかこのガキじゃないだろうな?笑えねぇ」
“ なんの冗談…っ ”
「………、恋?」
キラーン
二人の言い合いを聞いていたカミルの目が再び光る。
「──恋??レベッカさまは恋をしているの??」
「…ん?ああそうらしい」
「へぇぇ…」
子供はこういう話題が大好きだ。
「ふっ、お前に相手の心当たりはないのかよ」
「僕に心当り?誰かいたかなー、うーん…」
レベッカさまの恋の相手か…
カミルは考え込む。
「……!」
あ~~~!!!
わかったかも!
「わかったかも!もしかしてー」
「カミル……?何を言い出すつもり……?」
にんまり笑ったカミルはいたずらっぽく彼女を見上げる。
「…な、なにを考えてるのよカミル…!」
レベッカとカミルの共通の知り合い…なんて、ひとりしかいない。
レベッカは慌てて、カミルの言葉を遮った。