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略奪貴公子
第9章 招待状



「あ…ッ」



「どうかされましたかレベッカ様?あら、猫が」

 猫がレベッカの腕をすり抜けた。

 エマとアドルフの間を通り抜け、中庭の出口へ走っていく。

 自然と、猫の行動を目で追いかける二人──。

「……?」

「あそこにいるのは…」

 そこには、此方を静かに見つめるクロードがいたのだ。




「伯爵…!」

「──…あいつが?」

 メイドのエマが小さく呟き、アドルフはその男が、先程まで話題に出ていた伯爵だと判断した。

 白い猫は伯爵の足元もすり抜けて中庭を出た。

 アドルフは…その伯爵の姿をじっと見る。

「……」

 なるほど確かに…恐ろしいほどの美男子だ。

 整った目鼻立ち
 手入れのゆきとどいたブロンド髪
 スラリ高い背丈と、柔らかな物腰──

 斜め後ろに、プラチナブロンドの髪をした別の男を引き連れて、伯爵は此方にゆっくり近づいてくる。

「……おい」

 横を見ると、レベッカは伯爵を見て固まってしまっていた。

 エマも不安げな表情を見せている。

 先程の話が本当ならば、当然か──。



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