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二重生活
第17章 in the closet
ご飯を作っていると、連絡が来た。

<まだ俺んちいる?〕

〔いるよ>

<鞠香さんが家にいるってなんかいいな。ゆっくりしていって〕

〔ありがとね。昨日もとっても楽しかった。歯ブラシ買ったよ>

<俺も楽しかった。歯ブラシ並べといてね。また早く抱き締めてーな。そいえば、クローゼットの中に引き出しあるんだけど、そこの一番下空いてるから、鞠香さんの物入れていいよ〕

〔ありがとう。私も、もう会いたい>

だけど、今夜は帰らないといけない。
おかえりなさいも言えたら、どんなに幸せだろう。
いけないことだけど、そう思ってしまう。

まだ入れるものは何もないけど、引き出しを開けてみた。
オルゴールの蓋を開けるときみたいな、幸せな気持ちだった。

彗君の部屋にできた自分の場所。
そして、胸をいっぱいに占める彗君の存在。

好き……。
引き出しの中に、そっと想いを閉じ込める。
そして、静かにクローゼットを閉めた。
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