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二重生活
第17章 in the closet
部屋の掃除をしていると、雄一から連絡があった。
「久しぶりに早く帰れそうだから外食しよう」
「外食……」
「そうだな、せっかくだし鞠香の働いているお店に行くか」
言葉に詰まった鞠香に、30分後に表参道の交差点でと告げて電話は切れた。
彗君の前でどんな顔をして雄一と食事をすればいいの?と思った。
そして、雄一の前で、彗君とどう接したらいいの?と思った。
雄一と食事をすることは、彗君への裏切りになる気がした。
本当は逆だけど。
でも、行きたくないと言えばさすがに雄一も訝るだろう。
はじめて、この関係のいびつさを実感していた。
二股、浮気、不倫、三角関係。
自分には関係のない世界だと思っていた。
嫌悪感すら、抱いていた。
少し高いところから、そういう人を見下していたくらいかもしれない。
一人を愛せない可哀想な人だと。
結局どっちのことも、本当に愛していないんじゃないの?
愛しているのは自分なんじゃないの?
他に好きな人がいるなら、早く旦那さんと別れてしまえばいいのに。
そう、思っていたのに。
自分たちだけは違う、たまたま出会ってしまっただけだと、いつの間にか、美しいものにすり替えようとしているのを感じていた……。
「久しぶりに早く帰れそうだから外食しよう」
「外食……」
「そうだな、せっかくだし鞠香の働いているお店に行くか」
言葉に詰まった鞠香に、30分後に表参道の交差点でと告げて電話は切れた。
彗君の前でどんな顔をして雄一と食事をすればいいの?と思った。
そして、雄一の前で、彗君とどう接したらいいの?と思った。
雄一と食事をすることは、彗君への裏切りになる気がした。
本当は逆だけど。
でも、行きたくないと言えばさすがに雄一も訝るだろう。
はじめて、この関係のいびつさを実感していた。
二股、浮気、不倫、三角関係。
自分には関係のない世界だと思っていた。
嫌悪感すら、抱いていた。
少し高いところから、そういう人を見下していたくらいかもしれない。
一人を愛せない可哀想な人だと。
結局どっちのことも、本当に愛していないんじゃないの?
愛しているのは自分なんじゃないの?
他に好きな人がいるなら、早く旦那さんと別れてしまえばいいのに。
そう、思っていたのに。
自分たちだけは違う、たまたま出会ってしまっただけだと、いつの間にか、美しいものにすり替えようとしているのを感じていた……。