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二重生活
第17章 in the closet
重い足取りで待ち合わせ場所に向かうと、雄一は先に来ていた。
いつも堂々と、パリッと張って見える姿が、なんだか疲れて見えた。
その瞬間、申し訳ないという気持ちが込み上げる。
それは、自分の父親に対して感じる気持ちに似ていた。
労り、かもしれなかった。
漠然と、もうこの人と肌を重ねることはない、そう思った。
感謝や、尊敬は感じても、どんなに大切で幸せを願っていても、父親とは関係は持てない。
同じ箸は使えても、たわいのない話はできても、隣に寝れても、触れあうことはない。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
どうしてこのことに、気づいてしまったんだろう。
雄一の隣にいる違和感は、もう誤魔化しようがなかった。
差し出された手を、ハンドクリームでベタついてるからとやんわり断った。
雄一は、あっさり手を引っ込める。
きっと彗君なら、いーよ俺も手カサカサだからちょーどいいと言って、迷わず手を繋ぐと思った。
雄一が、そんな人だったら、はぐれずに来れたのかもしれない。誰かが入り込める隙もなかったかもしれない。
勝手な責任転嫁をしながら、今はそんな雄一の性格にほっとしていた。
いろいろなことを信用していて、自信もあって、人に無関心なところに。
いつも堂々と、パリッと張って見える姿が、なんだか疲れて見えた。
その瞬間、申し訳ないという気持ちが込み上げる。
それは、自分の父親に対して感じる気持ちに似ていた。
労り、かもしれなかった。
漠然と、もうこの人と肌を重ねることはない、そう思った。
感謝や、尊敬は感じても、どんなに大切で幸せを願っていても、父親とは関係は持てない。
同じ箸は使えても、たわいのない話はできても、隣に寝れても、触れあうことはない。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
どうしてこのことに、気づいてしまったんだろう。
雄一の隣にいる違和感は、もう誤魔化しようがなかった。
差し出された手を、ハンドクリームでベタついてるからとやんわり断った。
雄一は、あっさり手を引っ込める。
きっと彗君なら、いーよ俺も手カサカサだからちょーどいいと言って、迷わず手を繋ぐと思った。
雄一が、そんな人だったら、はぐれずに来れたのかもしれない。誰かが入り込める隙もなかったかもしれない。
勝手な責任転嫁をしながら、今はそんな雄一の性格にほっとしていた。
いろいろなことを信用していて、自信もあって、人に無関心なところに。