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二重生活
第17章 in the closet
一定の距離を保ちながら、二人はお店についた。
「いらっしゃいませ、あ!鞠香さん!」
華やいだ声をあげた彗君の表情が、驚きの表情に変わり、それからすべてを理解した顔で「こんばんは」と笑顔になった。
共犯者になった瞬間。
「いつも妻がお世話になってます。話に聞いていたとおり、いい店だね」
雄一がよく通る声で応え「鞠香のおすすめのものを食べようか」とこちらを見つめた。
抱かれた二人の男に見つめられ、手が震えそうになるのを抑えて、淡々と注文をする。
よく動揺を隠せたと思う。
彗君がテーブルを離れると、ふいに雄一が言った。
「すごく、魅力的な子だね。それに、鞠香と同じ香りがした。なんの香りだろう?」
今度こそ、ドキンと心臓が跳ねた。
「あ。シャンプーかな? お店の女の子彩名ちゃんっていうんだけど、読者モデルしててね。シャンプーのサンプルみんなにくれたの」
嘘がすらすらと出てきて、驚いた。
「それでかぁ。待ち合わせのときいい香りしてるなと思ったから。あやうくあの子にもときめくとこだったよ」
鞠香は胸を突き破りそうな動悸を感じながら、朗らかに笑う雄一をまっすぐに見つめて、薄く笑っていた。
雄一の中に疑心が生まれていないかを、注意深く観察するかのように。
嘘をつくとき、目をそらさないのが女の嘘のつきかただと、何かで読んだことがある。
あれは本当だと思った。
「いらっしゃいませ、あ!鞠香さん!」
華やいだ声をあげた彗君の表情が、驚きの表情に変わり、それからすべてを理解した顔で「こんばんは」と笑顔になった。
共犯者になった瞬間。
「いつも妻がお世話になってます。話に聞いていたとおり、いい店だね」
雄一がよく通る声で応え「鞠香のおすすめのものを食べようか」とこちらを見つめた。
抱かれた二人の男に見つめられ、手が震えそうになるのを抑えて、淡々と注文をする。
よく動揺を隠せたと思う。
彗君がテーブルを離れると、ふいに雄一が言った。
「すごく、魅力的な子だね。それに、鞠香と同じ香りがした。なんの香りだろう?」
今度こそ、ドキンと心臓が跳ねた。
「あ。シャンプーかな? お店の女の子彩名ちゃんっていうんだけど、読者モデルしててね。シャンプーのサンプルみんなにくれたの」
嘘がすらすらと出てきて、驚いた。
「それでかぁ。待ち合わせのときいい香りしてるなと思ったから。あやうくあの子にもときめくとこだったよ」
鞠香は胸を突き破りそうな動悸を感じながら、朗らかに笑う雄一をまっすぐに見つめて、薄く笑っていた。
雄一の中に疑心が生まれていないかを、注意深く観察するかのように。
嘘をつくとき、目をそらさないのが女の嘘のつきかただと、何かで読んだことがある。
あれは本当だと思った。