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二重生活
第18章 存在論
「鞠香待って。今日ここで仕事してるから、あがったら久しぶりに飲みに行かない?」
沙織は、タブレットを顔の横で振ってみせた。
それは、願ってもない誘いだった。
「うん。わかった」
沙織に何から話そう……、向こうのテーブルでお客さんと話している彗君の、綺麗な横顔を見つめながら、鞠香は記憶を手繰り寄せていた。
その時、彗君が振り返り目が合ってドキッとする。
彗君は笑顔で近づいてきて、
「鞠香さん、こっち見すぎ。沙織さんに気づかれちゃうよ?」
こそっと囁いて、奥へ入っていった。
思えば、いつもこうして彗君を目で追っていた。
そのことにも気づかれていたのかも……。そう思うと、耳が熱くなった。
「平常心」
鞠香は呟くと、出来上がった料理を取りにキッチンへ向かった。
沙織は、タブレットを顔の横で振ってみせた。
それは、願ってもない誘いだった。
「うん。わかった」
沙織に何から話そう……、向こうのテーブルでお客さんと話している彗君の、綺麗な横顔を見つめながら、鞠香は記憶を手繰り寄せていた。
その時、彗君が振り返り目が合ってドキッとする。
彗君は笑顔で近づいてきて、
「鞠香さん、こっち見すぎ。沙織さんに気づかれちゃうよ?」
こそっと囁いて、奥へ入っていった。
思えば、いつもこうして彗君を目で追っていた。
そのことにも気づかれていたのかも……。そう思うと、耳が熱くなった。
「平常心」
鞠香は呟くと、出来上がった料理を取りにキッチンへ向かった。