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二重生活
第18章 存在論
少しずつ芽吹きはじめている表参道のケヤキ並木を、沙織とならんで原宿の方へ向かった。
「鞠香のおすすめのお店に行きたいな~」
沙織が言い、鞠香は
「行ってみたいお店があるの。いつも賑わってて、外まですごくいい香りがするの」
と、裏路地にあるブラッスリーを提案した。
行きつけのお店ではなく、ガヤガヤと賑わうお店にしようと思ったのは、これから沙織に話すであろう内容のためだった。
解放感のある天井高のメインテーブル席、オープンキッチンを囲むカウンター席、窓際のオープンエアーの席があったけど、奥のテーブル席へ案内してもらった。
ビールで乾杯し、料理を注文する。
話すなら酔う前がいい、そう思い、口を開いた。
「沙織。私、彗君のこと、好きになっちゃった」
「うっそ。えー! 本当に?」
沙織は、驚きを隠せないといったように、目を見開いた。
「いつから?」
「たぶん、初めて会ったときから惹かれてた……」
「そっか……」
「ひく、よね? でも、言っておきたくて」
「ひかないよ! 応援する! 彗君、かっこいいもんね。あの顔なら一日中見てたって飽きないわ~」
「うん、でも好きになったのは、中身を知ってからなんだ」
「いいないいな~。あんな素敵な旦那さんがいながら。もー、応援するかわりに、今夜は全て話してもらうからねっ。とりあえず、ワインボトル入れよう。ほら、ビール空けちゃって」
促され、一気にビールを流し込む。
お腹のあたりが、ジンと熱くなるのを感じた。
沙織はそれを見てにっこり微笑むと、
「じゃあ、初めてのキスの話からお願いします」
そう言った。
「鞠香のおすすめのお店に行きたいな~」
沙織が言い、鞠香は
「行ってみたいお店があるの。いつも賑わってて、外まですごくいい香りがするの」
と、裏路地にあるブラッスリーを提案した。
行きつけのお店ではなく、ガヤガヤと賑わうお店にしようと思ったのは、これから沙織に話すであろう内容のためだった。
解放感のある天井高のメインテーブル席、オープンキッチンを囲むカウンター席、窓際のオープンエアーの席があったけど、奥のテーブル席へ案内してもらった。
ビールで乾杯し、料理を注文する。
話すなら酔う前がいい、そう思い、口を開いた。
「沙織。私、彗君のこと、好きになっちゃった」
「うっそ。えー! 本当に?」
沙織は、驚きを隠せないといったように、目を見開いた。
「いつから?」
「たぶん、初めて会ったときから惹かれてた……」
「そっか……」
「ひく、よね? でも、言っておきたくて」
「ひかないよ! 応援する! 彗君、かっこいいもんね。あの顔なら一日中見てたって飽きないわ~」
「うん、でも好きになったのは、中身を知ってからなんだ」
「いいないいな~。あんな素敵な旦那さんがいながら。もー、応援するかわりに、今夜は全て話してもらうからねっ。とりあえず、ワインボトル入れよう。ほら、ビール空けちゃって」
促され、一気にビールを流し込む。
お腹のあたりが、ジンと熱くなるのを感じた。
沙織はそれを見てにっこり微笑むと、
「じゃあ、初めてのキスの話からお願いします」
そう言った。